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技術士1次試験森林部門 令和元年度(再試験) 回答と解説(1〜15問)

技術士1次試験森林部門 令和2年度を受験予定なので、過去問について勉強している内容をまとめています。解説はあくまで私の考えなので、参考程度と考えて貰えたらと思います。35問中25問を選択して回答すれば良いです。50%以上を正解する必要があります。1〜15問について解説します。

令和元年度森林部門の問題

https://www.engineer.or.jp/c_topics/007/attached/attach_7103_4.pdf

解答

https://www.engineer.or.jp/c_topics/004/attached/attach_4106_2.pdf

 

 

Ⅲ-1 令和元年度版森林・林業白書

正解②

 平成29(2017)年における林業労働災害発生率を死傷千人率でみると6.6で、全産業平均の3.0倍となっており、近年大きく改善しつつある。

解説

平成30年(2018)の死傷千人率は 22.4で全産業平均の9.7倍となっていて、全産業の中で最も高い状態が続いています。

かなり衝撃の数字ですね・・・・

Ⅲ-2 育林対象樹種

正解④

ヒノキは深根性の常緑高木であり、生育特性としては耐陰性大で、適潤・肥沃地を好み、乾燥地では生育が困難である。

解説

ヒノキ、アカマツは乾燥に強く、スギは乾燥に弱い。

 

Ⅲ-3 森林の有する多面的機能

正解③

森林は、森林がない場合に比べ、降水の河川への年流出量を増大させ、また、特に無降雨日が長く続く場合に河川流量を増加させることで、渇水を緩和する働きがある。

解説

森林があると、雨水は樹木の葉や枝などに付着して、一部は地面に到達することなく蒸発します(遮断蒸発)。また、地面に到達した水は、土の中へ浸透していきます。その一部の水は、樹木の根を通じて吸収され、大気へ戻されます(蒸散)。樹木に吸収されなかった水が地下水となり、湧水となって再度地上に現れます(河川流出量)。したがって、森林があると河川流出量は低下することが分かります。

 

Ⅲ-4 森林・林業経営の指導原則

正解⑤

経済性の原則とは、国民が必要とする木材の最大生産に努めることにより、国民あるいは地域住民の経済に最大限貢献するように森林を管理運営すべきという原則である。

解説

森林・林業経営の経済性の原則とは、常にコストパフォーマンスを考えた森林経営を行うこと。費用を小さくするのと同時に、効果を大きくすることで、費用対効果を高めることです。

 

Ⅲ-5 間伐

正解④

択伐的間伐は、利用径級になった優勢木と継室の悪い劣勢木を間伐し、早期に収入を得るとともに、形質の良い準優勢木(中立木)を育成する方法である。

解説

間伐収穫を特に有利にしようとしたものが択伐的間伐。

 

Ⅲ-6 森林リモートセンシング

正解①

航空レーザ測量は、森林など地上の対象物が反射するレーザ光のスペクトルを分析することにより、樹木の根系発達などの3次元情報を得ることのできる手法である。

解説

航空レーザ測量は「レーザ測距・GNSS・IMU」という3つの技術の合体から実現しています。レーザ測距では、航空機を飛ばして、レーザー光を発射し地表から反射して戻ってくる時間差を調べて距離を決定します。GNSS受信機は、航空機の位置(x,y,z)を知るための装置、IMU(慣性計測装置)は、いわゆるジャイロを改良したもので、飛行機の姿勢や加速度を測ることができます。

要するに上空からの計測なので、樹木の根系発達などの情報は得られないと考えられますね。

 

Ⅲ-7 林分材積の測定法

正解②

標準木法では、林分の全ての木を調査することなく一部の標準木の材積のみを測定し、標準木の本数と全林の立木本数の比により、林分材積を推定する。標準木の選定方法には単純無作為抽出法などがある

解説

林分の中で、胸高直径、樹高、材積などの要素について平均的な値を示す木を標準木という。毎木調査などのデータを使って胸高断面積の平均値にほぼ等しく樹高、樹形なども平均的と思われる木を林分の中から数本選び標準木とする

単純無作為抽出法は、母集団から、乱数表を用いて必要数だけサンプルを抽出する方法なので、ある程度の基準んがある標準木の選定方法とは違います。

 

Ⅲ-8 令和元年森林・林業白書 シカやクマなど野生鳥獣による森林被害状況

正解④

シカの分布域は、平成23(2011)年度から平成26(2014)年度までの3年間では約2.5倍に拡大しており、特に北海道・東北地方や北陸地方において急速に拡大している。

解説

白書系は知っていれば良いが、どこから出るか分からないので、回答の優先順位は下げる。勉強の効率も悪い。

 

Ⅲ-9 日本の森林土壌断面の層位

正解①

A0層のうちH層は、土壌動物や土壌微生物による分解作用によって破砕され、植物遺体の原型は失われているが、肉眼で元の組織が認められる程度に分解された層である。

解説

森林土壌には通常,堆積有機物層と鉱質土層の2種類の層位がある。堆積有機物層はA0層,有機物層,有機質層ともよばれ、地表にあって落葉・落枝などの植物遺体や動物遺体およびそれらの腐朽物が重なり合って層をなしている。鉱質土層は無機質層ともよばれ,堆積有機物の下に位置する無機物を主とする部分で,一般に岩石の風化物から構成されている。
林野土壌では層位の名称として堆積有機物層(A0層)についてはL,F,H層の3種類,鉱質土層についてはA,B,C,M,G層の5種類を用いるが、近年溶脱層をEとし、6種類とすることが多い。

体積有機物層の層位

L;新しい植物遺体で,あまり分解されておらず原形の大半をとどめている層位。
F;分解が進み植物遺体の原形が崩れ破片や屑状になってはいるが,まだ肉眼で植物組織を識別できる層位。
H;分解がさらに進み大部分が数mm以下の微細片となり,乾燥土壌では粉状,湿潤土壌ではグリス状の層位。

 

Ⅲ-10 日本の森林帯

正解②

温帯落葉広葉樹林は、関東北部から東北地方北部までの地域に分布しており、ブナ、ミズナラが代表的樹種である。

解説

東北地方北部までではなく、北海道南部まで分布している点が違います。日本には、4つの森林帯があり、奄美諸島南部から沖縄県に分布する亜熱帯森林本州の中部以西から四国、九州に分布する暖帯性照葉樹林本州中部以北から北海道南半部まで分布する暖温帯性落葉広葉樹林帯(夏緑広葉樹林帯)北海道北半部に分布する亜寒帯性常緑針葉樹帯に分類される。

 

Ⅲ-11 世界森林資源評価2015

正解④

2010年から2015年までの5年間の地域別森林面積の変化は、アジアで森林面積が減少している一方、アフリカ、南米では森林面積は増加している。

解説

アフリカ、南米では森林面積は減少していますね。

 

Ⅲ-12 野生生物保護や環境保全などに関連する国際条約あるいは国際約束

正解②

ラムサール条約は、特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地及びそこに生息・生育する動植物の保全を進めることを目的として定められた。

解説

特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地及びそこに生息・生育する動植物の保全を促し,湿地の適正な利用(Wise Use,一般に「賢明な利用」と呼ばれることもある)を進めることを目的として定められています。

保全だけでなく、適性な利用が目的なんですね。

 

Ⅲ-13 森林生態系

正解④

環境収容力(環境容量)とは、ある環境の下で特定の種が成長、繁殖を維持できる最小の個体密度群のことである。

解説

環境収容力はその生息環境において生存可能な、生物種の数と生物種ごとの個体の数量を示す。個体数が環境収容力を上まわると、個体数は食物の枯渇や病気や過剰な廃棄物のために減少する。環境収容力を超えた場合、個体数は一旦環境収容力をはるかに下回る数まで激減し、場合によっては絶滅することもある。

つまり最小ではなく、最大容量ということですね。

 

Ⅲ-14 森林生態系の物質循環

正解②

窒素は、植物体内のタンパク質やDNAを構成する重要な元素であり、そのほとんどが土壌の材料となる鉱物に含まれている。

解説

鉱物ではなく土壌有機物に含有される有機体窒素ですね。窒素は無機化され大気窒素になりますから、分かりやすい問題かなと思います。

 

Ⅲ-15 樹木の崩壊防止機能

正解①

土塊の安全率(根系の崩壊防止機能)は、樹木の成長と共に増加し、その増加傾向は林齢10〜20年までは顕著に認められ、30年を経過しても漸増していく。

解説

調べたのですが、よく分かりませんでした。

 

とりあえず1〜15問まで終了です。

次は16〜35問までやる予定。