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技術士1次試験森林部門 令和元年度(再試験) 回答と解説(1〜15問)

技術士1次試験森林部門 令和2年度を受験予定なので、過去問について勉強している内容をまとめています。解説はあくまで私の考えなので、参考程度と考えて貰えたらと思います。35問中25問を選択して回答すれば良いです。50%以上を正解する必要があります。1〜15問について解説します。

令和元年度森林部門の問題

https://www.engineer.or.jp/c_topics/007/attached/attach_7103_4.pdf

解答

https://www.engineer.or.jp/c_topics/004/attached/attach_4106_2.pdf

 

 

Ⅲ-1 令和元年度版森林・林業白書

正解②

 平成29(2017)年における林業労働災害発生率を死傷千人率でみると6.6で、全産業平均の3.0倍となっており、近年大きく改善しつつある。

解説

平成30年(2018)の死傷千人率は 22.4で全産業平均の9.7倍となっていて、全産業の中で最も高い状態が続いています。

かなり衝撃の数字ですね・・・・

Ⅲ-2 育林対象樹種

正解④

ヒノキは深根性の常緑高木であり、生育特性としては耐陰性大で、適潤・肥沃地を好み、乾燥地では生育が困難である。

解説

ヒノキ、アカマツは乾燥に強く、スギは乾燥に弱い。

 

Ⅲ-3 森林の有する多面的機能

正解③

森林は、森林がない場合に比べ、降水の河川への年流出量を増大させ、また、特に無降雨日が長く続く場合に河川流量を増加させることで、渇水を緩和する働きがある。

解説

森林があると、雨水は樹木の葉や枝などに付着して、一部は地面に到達することなく蒸発します(遮断蒸発)。また、地面に到達した水は、土の中へ浸透していきます。その一部の水は、樹木の根を通じて吸収され、大気へ戻されます(蒸散)。樹木に吸収されなかった水が地下水となり、湧水となって再度地上に現れます(河川流出量)。したがって、森林があると河川流出量は低下することが分かります。

 

Ⅲ-4 森林・林業経営の指導原則

正解⑤

経済性の原則とは、国民が必要とする木材の最大生産に努めることにより、国民あるいは地域住民の経済に最大限貢献するように森林を管理運営すべきという原則である。

解説

森林・林業経営の経済性の原則とは、常にコストパフォーマンスを考えた森林経営を行うこと。費用を小さくするのと同時に、効果を大きくすることで、費用対効果を高めることです。

 

Ⅲ-5 間伐

正解④

択伐的間伐は、利用径級になった優勢木と継室の悪い劣勢木を間伐し、早期に収入を得るとともに、形質の良い準優勢木(中立木)を育成する方法である。

解説

間伐収穫を特に有利にしようとしたものが択伐的間伐。

 

Ⅲ-6 森林リモートセンシング

正解①

航空レーザ測量は、森林など地上の対象物が反射するレーザ光のスペクトルを分析することにより、樹木の根系発達などの3次元情報を得ることのできる手法である。

解説

航空レーザ測量は「レーザ測距・GNSS・IMU」という3つの技術の合体から実現しています。レーザ測距では、航空機を飛ばして、レーザー光を発射し地表から反射して戻ってくる時間差を調べて距離を決定します。GNSS受信機は、航空機の位置(x,y,z)を知るための装置、IMU(慣性計測装置)は、いわゆるジャイロを改良したもので、飛行機の姿勢や加速度を測ることができます。

要するに上空からの計測なので、樹木の根系発達などの情報は得られないと考えられますね。

 

Ⅲ-7 林分材積の測定法

正解②

標準木法では、林分の全ての木を調査することなく一部の標準木の材積のみを測定し、標準木の本数と全林の立木本数の比により、林分材積を推定する。標準木の選定方法には単純無作為抽出法などがある

解説

林分の中で、胸高直径、樹高、材積などの要素について平均的な値を示す木を標準木という。毎木調査などのデータを使って胸高断面積の平均値にほぼ等しく樹高、樹形なども平均的と思われる木を林分の中から数本選び標準木とする

単純無作為抽出法は、母集団から、乱数表を用いて必要数だけサンプルを抽出する方法なので、ある程度の基準んがある標準木の選定方法とは違います。

 

Ⅲ-8 令和元年森林・林業白書 シカやクマなど野生鳥獣による森林被害状況

正解④

シカの分布域は、平成23(2011)年度から平成26(2014)年度までの3年間では約2.5倍に拡大しており、特に北海道・東北地方や北陸地方において急速に拡大している。

解説

白書系は知っていれば良いが、どこから出るか分からないので、回答の優先順位は下げる。勉強の効率も悪い。

 

Ⅲ-9 日本の森林土壌断面の層位

正解①

A0層のうちH層は、土壌動物や土壌微生物による分解作用によって破砕され、植物遺体の原型は失われているが、肉眼で元の組織が認められる程度に分解された層である。

解説

森林土壌には通常,堆積有機物層と鉱質土層の2種類の層位がある。堆積有機物層はA0層,有機物層,有機質層ともよばれ、地表にあって落葉・落枝などの植物遺体や動物遺体およびそれらの腐朽物が重なり合って層をなしている。鉱質土層は無機質層ともよばれ,堆積有機物の下に位置する無機物を主とする部分で,一般に岩石の風化物から構成されている。
林野土壌では層位の名称として堆積有機物層(A0層)についてはL,F,H層の3種類,鉱質土層についてはA,B,C,M,G層の5種類を用いるが、近年溶脱層をEとし、6種類とすることが多い。

体積有機物層の層位

L;新しい植物遺体で,あまり分解されておらず原形の大半をとどめている層位。
F;分解が進み植物遺体の原形が崩れ破片や屑状になってはいるが,まだ肉眼で植物組織を識別できる層位。
H;分解がさらに進み大部分が数mm以下の微細片となり,乾燥土壌では粉状,湿潤土壌ではグリス状の層位。

 

Ⅲ-10 日本の森林帯

正解②

温帯落葉広葉樹林は、関東北部から東北地方北部までの地域に分布しており、ブナ、ミズナラが代表的樹種である。

解説

東北地方北部までではなく、北海道南部まで分布している点が違います。日本には、4つの森林帯があり、奄美諸島南部から沖縄県に分布する亜熱帯森林本州の中部以西から四国、九州に分布する暖帯性照葉樹林本州中部以北から北海道南半部まで分布する暖温帯性落葉広葉樹林帯(夏緑広葉樹林帯)北海道北半部に分布する亜寒帯性常緑針葉樹帯に分類される。

 

Ⅲ-11 世界森林資源評価2015

正解④

2010年から2015年までの5年間の地域別森林面積の変化は、アジアで森林面積が減少している一方、アフリカ、南米では森林面積は増加している。

解説

アフリカ、南米では森林面積は減少していますね。

 

Ⅲ-12 野生生物保護や環境保全などに関連する国際条約あるいは国際約束

正解②

ラムサール条約は、特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地及びそこに生息・生育する動植物の保全を進めることを目的として定められた。

解説

特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地及びそこに生息・生育する動植物の保全を促し,湿地の適正な利用(Wise Use,一般に「賢明な利用」と呼ばれることもある)を進めることを目的として定められています。

保全だけでなく、適性な利用が目的なんですね。

 

Ⅲ-13 森林生態系

正解④

環境収容力(環境容量)とは、ある環境の下で特定の種が成長、繁殖を維持できる最小の個体密度群のことである。

解説

環境収容力はその生息環境において生存可能な、生物種の数と生物種ごとの個体の数量を示す。個体数が環境収容力を上まわると、個体数は食物の枯渇や病気や過剰な廃棄物のために減少する。環境収容力を超えた場合、個体数は一旦環境収容力をはるかに下回る数まで激減し、場合によっては絶滅することもある。

つまり最小ではなく、最大容量ということですね。

 

Ⅲ-14 森林生態系の物質循環

正解②

窒素は、植物体内のタンパク質やDNAを構成する重要な元素であり、そのほとんどが土壌の材料となる鉱物に含まれている。

解説

鉱物ではなく土壌有機物に含有される有機体窒素ですね。窒素は無機化され大気窒素になりますから、分かりやすい問題かなと思います。

 

Ⅲ-15 樹木の崩壊防止機能

正解①

土塊の安全率(根系の崩壊防止機能)は、樹木の成長と共に増加し、その増加傾向は林齢10〜20年までは顕著に認められ、30年を経過しても漸増していく。

解説

調べたのですが、よく分かりませんでした。

 

とりあえず1〜15問まで終了です。

次は16〜35問までやる予定。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

技術士1次試験森林部門 令和元年度 回答と解説(16〜35問)

 技術士1次試験森林部門 令和2年度を受験予定なので、過去問について勉強している内容をまとめています。解説はあくまで私の考えなので、参考程度と考えて貰えたらと思います。35問中25問を選択して回答すれば良く、50%以上正解する必要があります。ここでは16〜35問について解説します。

令和元年度森林部門の問題

https://www.engineer.or.jp/c_topics/006/attached/attach_6835_4.pdf

回答

https://www.engineer.or.jp/c_topics/004/attached/attach_4106_3.pdf

 

 

Ⅲ-16 森林の浸食・崩壊

正解は①

表面侵食は、表面流により地面を構成する土壌や土砂が削り取られる現象で、面状侵食、ガリ侵食、リル侵食からなり、表面流が斜面低所に集まってガリが形成されるとガリ侵食、ガリがリルに発達するとリル侵食となる。

解説

深さ30cm未満の溝状の侵食を「リル」、「リル」がさらに発達した溝状の侵食で30cm以上に達したものを「ガリー」というのだそうです。

こういった問題は技術的な知識なので、年によって変化することは無いので覚えておくとチャンス問題になります。

 

Ⅲ-17 治山ダム

正解は⑤

治山ダムの放水路の位置は、設置箇所の上下流の地形、流水の方向、保全対象の位置等に関わらず、河道の安定のため流心部とする。

解説

専門的な内容のため、知らなければ・・・と思いますが、治山ダムという重要な構築物の放水路が、「設置箇所の上下流の地形、流水の方向、保全対象の位置等に関わらず」河道の安定のために常に流心部になるとは思えません。

 

Ⅲ-18 護岸工

正解は④

護岸ののり勾配は、流れの這登り(はいのぼり)を防ぐため、流速が大きいほど緩くするのが一般的である。

解説

これは流石に専門でなくても分かります。流速が大きいなら勾配を緩くするはずがないと思いますよね。

自転車や車に乗っていても、坂の勾配がキツければすぐにスピードが落ちます。自転車ならかなりキツい・・・・。ですので、勾配を大きくすれば流速は落ちますよね。

 

Ⅲ-19 土石流

正解は③

土石流の堆積構造は、層状を呈する場合と呈さない場合があり、堆積した場所の渓床勾配は11〜22度の区間が多い。

解説

勾配が11〜22度ということは、かなり勾配が大きいので、堆積するよりは流れる方が優先となりそうですね。なので、考えれば分かりそうです。

土石流は時速数十kmの速度で流下するようですから、発生を感知した時点で逃げるのは難しいみたいですね。

 

Ⅲ-20 防風林

正解は④

防風林機能は、防風林の密閉度が80〜90%程度が最適とされ、防風林は風上側で樹高程度、風下側で樹高の30〜40倍程度まで風を弱める効果がある。

解説

前面から見た防風林の密閉度が60〜70%程度の林帯が一番防風効果が大きいようです。

知らないと難しい・・・

 

Ⅲ-21 測量

正解は④

ディファレンシャルGPSとは、既知点と未知点において同じ衛星からの電波を同時に受信することによって、既知点における誤差分を未知点の測位結果から減ずることで測位誤差を数メートルまで向上させる測位方法である。

解説

位置座標が正確に判明している地点(基準局)で、GPSを受信して得られた位置座標と正確な位置座標を差し引き計算することで得られた誤差を補正値として使用する方法だそうで。

「既知点と未知点において同じ衛星からの電波を同時に受信する」のではなく、正確に位置座標が分かっている地点でGPSの位置座標との差を差し引きするというところがポイントですね。

 

Ⅲ-22 林内路網

正解は⑤

森林作業道作設指針(平成22年11月、林野庁長官通知)で定められた森林作業道とは、森林整備や木材の集材・搬出のため一時的に用いられる道であり、主にフォワーダ等の林業機械の走行を想定したものである。

解説

森林作業道作設指針では「間伐をはじめとする森林整備、木材の集材・搬出のため継続的に用いられる道」となっていますので、一時的という言葉が違うようですね。

 

Ⅲ-23 林道の設計

正解は①

林道で用いられる曲線には、単曲線、複合曲線、背向曲線、反向曲線、クロソイド曲線などがあり、複合曲線が最も多く、また設置も簡単である。

解説

残念ながら良く分かりませんでした。普通に考えると単曲線が一番簡単で多いのではないかと思います。

 

Ⅲ-24 林道の土工

正解は②

土量の変化率Lは、ほぐした土量と地山の土量の比であり、土量の変化率Cは、締固め後の土量とほぐした土量の比である。

解説

ほぐし率L=ほぐした土量/地山の土量

締固め率C=締固め土量/地山の土量

いずれも地山の土量に対する比率となっていますね。

 

Ⅲ-25 チェーンソー及び伐倒作業

正解は③

チェーンソーで採用されているフロート式気化器は、本体の傾きにかかわらず燃料を供給することができ、エンジンを駆動することができる。

解説

フロート式は自然落下給油のため、傾斜地には弱い

 

Ⅲ-26 林業機械

正解は①

高性能林業機械保有台数は、平成29(2017)年度には8,900台を超え、その内訳は、プロセッサ最も多く3割弱を占めている。

解説

令和元年度森林・林業白書によれば、高性能林業機械の内、フォワーダが最も多く、プロセッサは2番目でした。

これは知らないと結構難しい・・・

https://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/r1hakusyo/attach/pdf/zenbun-28.pdf

 

Ⅲ-27 伐出作業

正解は③

全木方式とは、伐採地に置いて枝払いのみを行い、長い木のまま土場へ運び、土場で玉切りを行う作業システムである。

解説

集材方式には、伐倒後にその場で枝払い・玉切りを行う「短幹集材」、伐倒・枝払い後に森林作業道端まで搬出して造材する「全幹集材」、伐倒木をそのまま森林作業道端まで搬出して土場で造材する「全木集材」があるので、問題文は「全幹集材」を示しています。

 

Ⅲ-28 林業作業のコスト

正解は②

伐出原価は、一般に材料費、労務費、間接費から構成され、これを原価の3要素と呼んでいる。

解説

原価の3要素は材料費、労務費、経費ですね。これは林業に関わらず同じです。経費の中に直接経費、間接経費が含まれます。

 

Ⅲ-29 木材の化学成分

正解は①

セルロースは、植物乾燥重量の40〜70%を占める主成分であり、D-グルコースα-1,4グリコシド結合した、らせん状多糖と定義される。

解説

β-1,4結合であり、らせん状でもないですね。α-1,4結合はデンプンであり、らせん状となります。β-1,4結合したセルロースはシート状になります。

 

Ⅲ-30 木材の物理的・力学的性質

正解は⑤

木材では、温度が1℃上昇した場合の熱膨張と含水率が1%変化した場合の膨潤収縮のオーダーはほぼ等しい

解説

木材は熱膨張率はとても小さいですが、含水率に対しては最大10%程度の膨張・収縮することから、オーダーが全く違います。

 

Ⅲ-31 木質材料

正解は④

ファイバーボードは、繊維の長さによって硬質繊維板(MDF)、中質繊維板(インシュレーションボード)、軟質繊維板(ハードボード)がある。

解説

項目とかっこの内容が違っていますね。硬質繊維板(ハードボード)、中質繊維板(MDF)、軟質繊維板(インシュレーションボード)。ちなみに、MDFはミディアムデンシティファイバーボードの略です。

ファイバーボードは木材を短繊維化した素材を集めて接着剤で圧密した板です。

 

Ⅲ-32 木材の保存・耐久性

正解は③

木材は腐朽の様式により褐色腐朽と白色腐朽に大別され、褐色腐朽菌としてはカワラタケやスエヒロタケ、白色腐朽菌にはイドタケやオオウズラタケなどがある。

解説

褐色腐朽菌と白色腐朽菌の中身が異なりますね。カワラタケ、スエヒロタケが白色腐朽菌、イドタケ、オオウズラタケが褐色腐朽菌です。違いとしては、白色腐朽菌はリグニンを分解できますが、褐色腐朽菌はセルロース、ヘミセルロースを主に分解します。

 

Ⅲ-33 木材の乾燥

正解は⑤

人工乾燥による損傷の中での割れのうち、一般に内部割れは、初期割れとも呼ばれ乾燥の初期に、また小口割れや表面割れは乾燥の末期に発生することが多い。

解説

この問題は直感的に分かり易いように思います。乾燥は木材表面から進行しますので、乾燥初期に表面の水分が抜けて収縮します。その収縮しあう力によって表面が割れます。ですので、表面割れは乾燥初期、内部割れは乾燥後期となります。

 

Ⅲ-34 木材用塗料

正解は②

ニトロセルロースラッカーは、硝化綿を溶剤に溶かした塗料で、塗装により厚い塗膜が得られるため耐熱性や耐水性、耐候性に優れる。

解説

耐熱性や耐水性、耐候性に劣るところが短所です。セルロース系なので、少なくとも耐水性には劣りそうかなと考えれば分かるように思います。

 

Ⅲ-35 木質バイオマスエネルギー

正解は④

平成14(2002)年の「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)」の導入以降、木質バイオマス発電は急速に普及し、現在稼働中のFIT木質バイオマス発電所の大半が熱電併給式を用いている。

解説

FIT制度は2012年にスタートした制度です。木質バイオマス発電所の大半はボイラタービン方式を採用しています。

 

さて、以上が令和元年度の森林部門の回答と解説になります。次は令和元年度再試験をやってみようと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

技術士1次試験森林部門 令和元年度 回答と解説(1〜15問)

 技術士1次試験森林部門 令和2年度を受験予定なので、過去問について勉強している内容をまとめています。解説はあくまで私の考えなので、参考程度と考えて貰えたらと思います。35問中25問を選択して回答すれば良いです。50%以上を正解する必要があります。1〜15問について解説します。

令和元年度森林部門の問題

https://www.engineer.or.jp/c_topics/006/attached/attach_6835_4.pdf

回答

https://www.engineer.or.jp/c_topics/004/attached/attach_4106_3.pdf

 

 

Ⅲ-1 森林計画や森林管理の制度

正解は③

地域森林計画の対象となっている民有林で土地の形質を変更する開発行為をしようとする者は、開発面積が10ha以下の場合を除き農林水産大臣の許可を得なければならない。

解説

10haではなく1ha。森林には水源の涵養、災害の防止、環境の保全などの公益的機能を有しているため、開発を行うには一定のルールがあるようです。

なんとなく普通に考えると、10haって、100000m2もあるのでめちゃくちゃ広いですよね。また、農林水産大臣の許可ではなく、都道府県知事です。いちいち国の許可なんて取れないですから、少し考えれば分かりそうな問題です。

 

Ⅲ-2 平成30年度森林・林業白書による我が国の森林・林業

正解は①

平成28(2016)年度の山行苗木生産量のうち、樹種別ではスギが約20百万本、ヒノキが約14百万本、カラマツが約8百万本で、全体の約3割がコンテナ苗であった。

解説

うーん、いずれの設問も平成30年度森林・林業白書に記載されている内容なので、知らないと無理ですね・・・

令和元年度の森林・林業白書の第1章森林の整備・保全のうち、第2節森林整備の動向に記載されていました。苗木生産の2割がコンテナ苗なんだそうです。

https://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/r1hakusyo/attach/pdf/zenbun-8.pdf

ちなみにコンテナ苗とは、容器で育苗した苗木で、容器から取り出しても根鉢の形状が維持され、軽量・小型で細長く根が巻かないような苗のようです。細長いから植え付けの抵抗も小さく労力が削減できるようですね。

 

Ⅲ-3 林業経営

正解は④

伐期齢とは、将来気象害や病害虫にあわず、正常に成長した場合の生産目的にかなった林木の予測的間伐年齢である。

解説

間伐が違うのですね。「伐期」というのが、林木が生産目的を完全に満たした状態に達した時期のことを指します。しかし、この時期はいつになるのか分かりませんので、予測的に設定した主伐林齢が「伐期齢」です。ちなみに、実際に主伐が実施された林齢を「伐採齢」と呼ぶようです。

 

Ⅲ-4 林木の成長量

正解は③

定期平均成長量とは、ある年(n年)までの1齢級(5年間)当たりの平均成長量であり、(Yn/n)×5である。

解説

0年からn年までの総成長量をYnとします。定期平均成長量はn年からm年間の成長量、すなわちn年からn+m年までの定期成長量(Yn+m)-(Yn)を、m年で割った1年当たりの成長量となるようです。

ですので、1齢級(5年間)当たりの成長量ではなく、単純に1年当たりの成長量が定期平均成長量と考えれば良いようです。

 

Ⅲ-5 林木育種

正解は⑤

第二世代精鋭樹(エリートツリー)とは、細胞融合や遺伝子組換えなどの遺伝子操作技術により創出された新しい変異を組織培養技術を用いて増殖した、成長等がより優れた精鋭樹である。

解説

遺伝子組換えしてません。

精鋭樹は昭和29年頃から、成長が早く、幹がまっすぐ、病気や虫の害が少ない精鋭樹(第1世代精鋭樹)として約9100本を選抜してきたようです。その精鋭樹を統計的に解析できるように実際に植栽した検定林により評価・解析し、第2世代の精鋭樹を選抜していくための母集団として、精鋭樹を交配させ、精鋭樹F1として21万個体を創出。(もう気の遠くなるような時間と数です)。その中から選ばれた個体が第二世代精鋭樹なのです。

林業が衰退してしまう理由の一つを垣間見ることができますね。とにかく時間がかかる。第1世代を選抜し始めたのが昭和29年(1954年)ですよ!!!このブログ書いてるのが2020年です。もう時代なんて何回変わったか分かりません。そのくらい先を見据えないといけない産業なんです。民間の企業だったらやってられないですよね!!!国が絶対にやるべき事業だと思います。

 

Ⅲ-6 保育作業の実施時期

正解は②

枝打ちは、幹径10.5cmまでに行えば四面無節の柱材がとれる。作業時期は初夏から盛夏が最適であるが、下刈りの時期と重なるため労務の調整が必要となる。

解説

枝打ちは、樹木の成長が止まる秋〜冬に行われます。樹木の成長が盛んな頃に枝を打っても、また成長して枝が出てくる可能性があるんだろうなという感じで、感覚的に考えてもいいかなと思います。

 

Ⅲ-7 林分密度管理図

正解は①

a等樹高線 b自然枯死線 c等胸高直径線 d収量比数曲線 e最多密度曲線

解説

林分密度管理図に示されている各線の名称の組み合わせとして最も適切なものはどれか?という問題

f:id:eruaru11:20200920103923p:plain

覚えないと無理とは思いますが、考え方として、bの自然枯死線は分かり易いのでこれをまず覚える。この自然枯死線は、最多密度曲線に収斂するということ。また、樹高と胸高直径は比例するはずなので、同じような傾きの線になるはずだからaとcがこれに該当するはず。

専門でない場合は、上記のことだけ分かっていれば回答を間違えないと思います(ちなみに私は専門ではありません)。

 

Ⅲ-8 樹木の競争

正解は⑤

林木の密度効果は直径と樹高で異なる。密度が高くなると樹高は減少するのに対して、直径は、一般に密度の影響を受けずむしろ地位の影響を受ける。

解説

林木の密度効果は直径と樹高では異ならないことは、Ⅲ-7の林分密度管理図を見ても明らかですね。Ⅲ-7のeの最多密度曲線は、左側から右下方に向かって引かれる線なので密度が高くなれば、成長が疎外される。すなわち、成長にリンクする樹高と直径も同様に低下すると考えればいいのではと思います。

 

Ⅲ-9 日本の森林土壌

正解は⑤

土壌の水分保持力は、孔隙の状態によって異なる。土壌水分は、水分保持力の程度で重力水、毛管水、吸着水などと呼ばれ、このうち植物に利用可能な水分は吸着水である。

解説

土壌の水ポテンシャルと植物が利用できるかどうかという観点が必要な問題。吸着水は土粒子と水分子が強固に結合しているので、その結合エネルギーを引き剥がして利用する必要があるため、植物はほとんど利用できない。植物は、吸着水の外側に表面張力によって重力に逆らって保持されている毛管水を利用する。

 

Ⅲ-10 森林の気象被害

正解は①

凍害は、季節と樹種により変化する耐凍性の推移と密接な関連を持つ。スギよりもカラマツが、トドマツよりもアカエゾマツの方が、それぞれ凍害にあいやすい。

解説

確たる情報は得られていませんが、北海道の針葉樹人工林はスギよりもカラマツが圧倒的に多いですし、その意味でもスギよりカラマツが耐凍性が弱いとは思えませんよね。

 

Ⅲ-11 世界の気候帯

正解は②

吉良竜夫は積算温度に注目し、温度による気候帯の区分に暖かさの指数及び寒さの指数を用いた。そのうち、寒さの指数とは、月平均気温5℃以下の月について月平均気温を1年間合計した値である。

解説

寒さの指数は、(5-月平均気温)を月平均気温5℃以下の月について1年間ぶんを合計した値です。5℃というのが植物の成長にとって必要な最低限の気温の平均を5℃と考えたため、5℃が境界の値となっているようです。

1年間の月平均気温の例

f:id:eruaru11:20200920175844p:plain

上の表で暖かさの指数の計算対象は、5℃以上の月、すなわち4〜11月までです。

(6.7-5)+(12.5-5)+(18.5-5)+(22.2-5)+(25.7-5)+(17.8-5)+(11.6-5)+(5.5-5)=80.5

暖かさの指数は80.5℃・月となります。

寒さの指数は逆に、5℃以下の月、1〜3月と12月が対象月であり

(5-(-2.3))+(5-(-1.5))+(5-1.5)+(5-(-1.1))=23.4

寒さの指数は-23.4℃・月となります。

 

暖かさの指数区分は下記のように区分されます。

<240で熱帯、180〜240が亜熱帯、85〜180で暖温帯、45〜85が冷温帯、15〜45が亜寒帯、0〜15が寒帯、<0が極帯

 

Ⅲ-12 地球温暖化対策と森林

正解は②

我が国は、2015年7月に地球温暖化対策推進本部で、2030年度の削減目標を1995年度総排出量比26.0%減とし、この14.0%相当を森林吸収量で確保することを目標とするなどの約束草案を気候変動枠組条約事務局へ提出した。

解説

1995年度比ではなく2013年度比ですね。知っていれば簡単。

www.env.go.jp

Ⅲ-13 森林風致における景観

正解は③

景観は、景観生態学の立場からは「人間を取り巻く環境のながめ」と定義され、景観工学の立場では「地表面のすべての事物が作りだすシステム」と定義されている。

解説

日本景観生態学会で「森と草地のような異質な生態系(景観要素)がモザイク状に分布する空間の,全体的なシステムです.」と記載されています。「人間と取り巻く環境のながめ」ではなく、どちらかというと「生態系における」ということを基軸として考えているようです。

| 日本景観生態学会公式ホームページ -Japan Association for Landscape Ecology-

 

Ⅲ-14 持続可能な森林経営

正解は①

国際連合食糧農業機関(FAO)の「世界森林資源評価2015」によると、2015年の世界の森林面積は40億haであり、世界の陸地面積の約31%を占めている。世界の森林面積は2010年から2015年までの5年間に年平均1,000万ha減少している。

解説

知っているか知らないかの問題ですね。年間650万haの減少のようです。

この手の問題はあまり勉強しても読む範囲が広いので勉強の効率が悪いです。年によって変わらない技術的な問題に集中した方が確実です。

 

Ⅲ-15 保安林

正解は④

保安林で立木・竹林の伐採、下草・落葉・落枝の採取等を行う場合は、保安林の種類に応じて農林水産大臣又は都道府県知事の許可が必要である。

解説

さらっと調べた限り、立木の伐採は都道府県知事の許可が必要です。「下草・落葉・落枝の採取等を行う場合は」までは書かれておらず、この部分が違うと思います。

 

15問まで終了したので、続きは別の記事にしようと思います。